スカウト行為の掲載について
今回は【スカウト行為の掲載】についてのご案内です。
アップステージでは業種、職種としての「スカウト」の掲載が可能(2016年9月現在)です。
ただ、法的に色々とややこしい業種であり、一定のルールの元に可能としています。
実は先日電話対応で質問をいただきまして、結構ややこしい内容でしたので、
整理と共有を兼ねて、ご案内をさせていただくことにしました。
皆様のルールへの理解を深めることが出来たらうれしいです。
なお、表現の違いに関係なく「スカウト行為」を行う全ての職種について、
今回の内容が当てはまりますので、ご注意ください。
※例えば「外販」と表記し、実際はスカウト行為である場合など
掲載頂けないのはこんな時
まず、大きな分類として、
下記のような場合には掲載をしていただくことが出来ません。
- ・活動内容が違法である場合
- ・誓約書を提出頂けない場合
- ・媒体側でNGと判断した場合
1番目の内容は法的な要請に基づくルールであり、
2番目、3番目は媒体秩序を守るためのルールです。
基本的にアップステージでは、
- ・色んな業種で働く人たちを応援したい
- ・失業で困る人を無くして、安心して生きられる人を増やしたい
という想いから、違法なものや、実際には求人ではないもの(登録金目当ての実質営業広告)などの、ユーザーに求人として案内すべきでないもの以外は掲載できるようにしています。
※このポリシーは僕の強い想いでもあります。
そのため、ここで重要になるのは1番目の法的な要請に基づくルールになりますので、
以下ではこちらにフォーカスしてご案内します。
法的な要請の概要
先ほども申しましたようにスカウト行為は法的にややこしい部分があります。
下記に挙げるもの以外にも人材紹介業の規制など論点はありますが、
アップステージへの掲載判断、という点に絞ると論点は大きく2つになります。
- ・ケース1:自治体の条例に違反する場合
- ・ケース2:職業安定法に違反する場合
以下はそれぞれについて深く掘り下げてみていくこととします。
自治体の条例に違反する場合
「路上声掛け禁止」というフレーズは、
比較的ニュースなどで良く聞くものだと思いますので、
みなさん、馴染みがあるのではないでしょうか?
条例、というのは法律の授権に基づき、各自治体で独自に定めるルールであり、
法的な拘束力があります(警察が動きます)まぁざっくり法律みたいなものですが、
この条例でスカウト行為に関する規制が定められていることが多いのです。
例えば新宿区では下記の条例でルールが定められています。
「新宿区公共の場所における客引き行為等の防止に関する条例」
リンク:https://www.city.shinjuku.lg.jp/content/000196698.pdf
該当の条文を見てみると、こんな感じです。
「新宿区公共の場所における客引き行為等の防止に関する条例」抜粋(平成28年9月14日現在)
第 7 条 何人も、公共の場所において、客引き行為等をしてはならない。
第 2 条 (1) 客引き行為等 次に掲げるものをいう。
ア 酒類を伴う飲食をさせる行為の提供について、客引きをすること。
ウ 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和 23 年法律第 122 号。以下「法」という。)第 2 条第 6 項に規定する店舗型性風俗特殊営業及び同条第7 項に規定する無店舗型性風俗特殊営業に関し、客引きをすること。
エ 次のいずれかに該当する役務に従事するように勧誘すること。
(ア) 人の性的好奇心に応じて人に接する役務
(イ) 専ら異性に対する接待(法第 2 条第 3 項に規定する接待をいう。)をして酒類を伴う飲食をさせる役務
オ わいせつな行為に係る人の姿態であって性欲を興奮させ、又は刺激するものをビデオカメラその他の機器を用いて撮影するための被写体となるように勧誘すること。
カ アからオまでに掲げる行為をする目的で、それらの行為の相手方となるべき者を待つこと。
法律というやつは読みにくいですね。
この内容を素直に読み解きますと、
第 7 条 ⇒ 公共の場所で、客引き行為等をしちゃダメです。
第 2 条 (1)ア ⇒ 接待飲食(キャバクラ)の客引きをしちゃダメです。
第 2 条 (1)ウ ⇒ 店舗型ヘルスやソープランド、デリヘルの客引きもダメです。
第 2 条 (1)エ(ア) ⇒ 性風俗で働くよう勧誘しちゃダメです。
第 2 条 (1)エ(イ) ⇒ キャバ嬢(ホスト)やりませんか?と勧誘をしちゃダメです。
第 2 条 (1)オ ⇒ AV女優の勧誘をしちゃダメです。
第 2 条 (1)カ ⇒ これらの目的で、女の子が来るのを待ってたら捕まります。
ということになります。結構厳しく規制されています。
お店を運営する側の立場から見ると、じゃあガールズバーどうなのよ?とか、
求人どうしたらいいんだ?とか言いたくもなりますが、
これらが当てはまる場合には「活動内容が違法なとき」ということで、
アップステージには掲載できない、というご理解をお願いします。
もちろん、これは新宿区の話で、条例は各自治体ごとで違います。
他の自治体でお仕事されている皆さんは必ず下記を確認の上、
スカウト行為の記載の是非をご検討ください。
- ・ご自分の活動する自治体に該当条例があるか?
- ・条例があった場合、その内容はどうか?
なお、もし条例がなかったとしても、条例の規制がない、というだけの話で、
他の法律の規制があるかもしれませんので、そちらも気を付けてくださいね。
職業安定法に違反する場合
次は職業安定法に関連する内容です。
職業安定法は、昭和22年に制定された法律で、その目的の中に下記の一文を含んでいます。
職業安定法:抜粋(目的)
職業安定機関以外の者の行う職業紹介事業等が労働力の需要供給の適正かつ円滑な調整に果たすべき役割にかんがみその適正な運営を確保すること
要するに職業紹介絡みの規制をする法律ですね。
そしてこの中に下記のような条文があります。
第六十三条 次の各号のいずれかに該当する者は、これを一年以上十年以下の懲役又は二十万円以上三百万円以下の罰金に処する。
二 公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行つた者又はこれらに従事した者
公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務、という部分が俗にいう「有害職業」というやつなのですが、これは一般的に【性風俗特殊営業もしくは類似の業務全般】を指します。
そして、これらの業務に対して、職業紹介、労働者の募集、労働者の供給を禁じているわけですね。
有害職業の線引きですが、ざっくりした基準でいうと「性的なものがあったらダメ」だと考えましょう。
線引きがはっきりしない部分もあるのですが、「手淫、口淫」があるものは完全にアウト。
例えばソープランドですが、店舗型の許可を取って合法に営業していても、
職業安定法上は「有害職業」です。
ちょっと理不尽な気もしますし、
なんで!?と最初は思ったのですが、最高裁の判例がありました。
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判例1つめ:
昭和29(あ)1765 職業安定法違反
昭和30年2月10日 最高裁判所第一小法廷 決定
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/521/069521_hanrei.pdf
また、たとえ就業先が風俗営業取締法及び同法施行条例等によつて
許可され比較的設備や衛生等に注意されている貸席営業であつても・・・・・
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下級審の判例ですが、判例2つめ:
平成13(わ)740 職業安定法違反
平成14年7月16日 神戸地方裁判所 判決
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/162/007162_hanrei.pdf
性風俗関連特殊業務の実施自体が風営法所定の規制に違反しないとしても,前記業務が職業安定法上の「公衆道徳上有害な業務」に該当しないことにはならないこと等を総合考慮すれば,被告人両名の前記業務が職業安定法63条2号所定の「公衆道徳上有害な業務」に該当することは明らか・・・
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営業が合法であっても、性風俗であれば勧誘しちゃいかん、ということですね・・・。
さらにこれらの判例の中で、「勧誘」という行為が問題になっているのですが、
他の判例等とも読みあわせるとこういう感じになります。
- ・面接に来た女性に条件を説明する ⇒ OK
- ・面接に来た求職者を力いっぱい誘う ⇒ NGの可能性あり
- ・面接時に保留して帰った女性を改めて誘う ⇒ NG
- ・一度退店した女性に再度声をかける ⇒ NG
簡単にまとめると、
- ・自発的な応募に対するのは良い
- ・相手の意思に影響を与える程度の勧誘を行ってはいけない
ということで、あくまで求職者の自由意思を尊重せよ、ということのようです。
ちなみに私見ですが、一般的に風俗店が出している求人募集広告はこの記事の執筆時点ではダメともOKとも判例では言われていませんが、判例の価値観や文言から判断するとセーフである可能性が高いと考えています(あくまで私見です)
ただし、同じく判例の価値観から考えると、虚偽の条件を記載した広告で勧誘した場合には、面接自体が自由意思であっても、面接に行こうという動機に不当に働きかけているので、職業安定法63条2号違反となる可能性が高いといえます(あくまで私見です)
ちょっと話が脱線しましたが、結局のところ、性風俗の仕事に女性を誘う行為自体が違法ということになっている、ということはご理解いただけたでしょうか?
職業安定法の観点から言いますと下記のケースについては、掲載がNGとなります。
御確認をお願いします。
- ・風俗店自身がスカウト社員を直接募集するケース
- ・スカウト会社が風俗店に紹介する女性を探す社員を募集するケース
スカウト行為まとめ
ざっと【スカウト行為】についてまとめてみました。
法的に難しい部分があり、また各地の条例などでの規制が異なることなども相まって、掲載対応が難しい部分があるスカウト行為ですが、アップステージでは「スカウト」という文言自体ではなく、実際にその仕事で何が行われるのか?に着目して、個別に判断をしていくことを基本ベースとして運営しています。
法律の規制は全体に及んでいるわけではなく、適法なやり方や分野があるわけですので、特に代理店様には、違法な部分があればNG、無ければOK、という考え方で、掲載判断をスムーズにしていただければと思います。
また、店舗様におかれましては実際の事業運営において違法な部分は排除し、
適法な運営を心掛けることで息の長い経営を実現していただければうれしいです。
それが従業員さんも含めた皆さんの幸せに繋がりますので。
以上【スカウト行為の掲載】についてのご案内でした。
代理店様、店舗様にはお手数をおかけいたしますが、
参考にしていただきますようお願い申し上げます。